大阪に住む田中さん(34歳)は、5歳の娘・さくらちゃんの将来を考えて、夜な夜なキッチンのテーブルで電卓を叩いていました。私立大学の4年間で約500万円、国公立でも250万円はかかる時代。「今から準備しないと間に合わない」——そう思ったのが、2026年の秋のことでした。

そんなとき、ニュースで見たのが「こどもNISA」の文字。2027年1月に始まる、子どものための新しい非課税投資制度。でも、仕組みがよく分からない。いくら積み立てればいいの? 損をしたらどうなるの? 田中さん一家の教育資金計画を追いながら、こどもNISAのすべてを解説します。まずはこのページのシミュレーターで、お子さんの年齢と積立額を入れて試算してみてください。

田中さんが出会った「こどもNISA」とは

こどもNISAは、2027年1月にスタートする新しい制度です。0歳から17歳までの子どもの名義で口座を開き、月5万円(年間60万円)まで投資できます。生涯の非課税枠は600万円。運用で得た利益には税金がかかりません。18歳まで運用を続けられ、大学進学などの教育資金づくりに活用できます。

田中さんがまず驚いたのは、非課税の効果の大きさでした。通常、投資の利益には約20.315%の税金がかかります。たとえば100万円の利益が出たら、約20万円が税金で消える。こどもNISAなら、その20万円が丸ごと残るのです。長期間の積立ほど、この差は大きくなります。

「13年間積み立てたら、税金の差だけで何十万円も違うかもしれない」。田中さんは、夫と二人でこのページのシミュレーターを開きました。

いくら積み立てればいい? 我が家の計算

田中さん一家の家計を整理すると、毎月無理なく出せるのは3万円でした。さくらちゃんは5歳なので、18歳まであと13年。月3万円×13年で、元本は468万円になります。

年率4%で運用できたと仮定すると、18歳時点の資産は約610万円。運用益は約140万円で、その分の税金(約29万円)が非課税になります。「月3万円で600万円超えか……」と、夫婦で顔を見合わせました。

もちろん、これは試算です。投資にはリスクがあり、元本が減る可能性もあります。でも、銀行の普通預金(金利0.1%程度)に置いておくのと比べれば、教育資金としての期待値は大きく違います。

ポイントは、無理のない金額で長く続けること。月5万円の上限いっぱいを目指す必要はありません。田中さん一家のように、家計に合った金額から始めるのが正解です。シミュレーターで積立額を変えて、何パターンか試してみるのがおすすめです。

シミュレーターで積立額を変えてみると、面白い発見がありました。月2万円に下げても、13年・年率4%なら約410万円。月4万円なら約810万円になります。「無理をして5万円」より「続けられる3万円」のほうが、教育資金としてはずっと現実的だ——田中さんはそう実感したそうです。

申込前に知っておきたい注意点

まず、投資である以上、元本保証はありません。リーマンショックのような暴落が起きれば、資産が大きく目減りする可能性もあります。教育資金の「すべて」をこどもNISAに頼るのは危険です。

田中さん一家は、こう決めました。教育資金の土台は学資保険と預貯金で確保し、こどもNISAは「上乗せ」の位置づけにする。月3万円のうち2万円を堅実なバランス型、1万円を少し積極的な商品に分けることにしました。

また、生涯600万円の非課税枠を超えた分は、通常の課税口座での運用になります。月5万円を18年間続けると元本だけで1080万円になるので、枠を超える計算です。その場合は、早めに積立額を調整するか、枠内で収まる計画を立てましょう。

申込は2026年10月から事前受付が始まっています。証券会社や銀行によって取扱商品や手数料が違うので、比較検討をおすすめします。焦って決める必要はありませんが、2027年1月のスタートに間に合わせたいなら、秋のうちに資料請求をしておくと安心です。

もう一つ、田中さんが確認したのは手数料の違いです。同じような商品でも、金融機関によって信託報酬などのコストが異なります。0.1%の手数料の差でも、13年という長い期間では数十万円の差になることも。資料請求の際は、商品ラインナップと手数料の両方を比べるのがコツです。

また、こどもNISAは子ども一人ひとりの名義で口座を開きます。きょうだいがいる家庭では、一人あたり月5万円・生涯600万円の枠がそれぞれに適用されます。さくらちゃんに弟や妹ができたら、その子の分も検討できる——将来の選択肢として覚えておくとよいでしょう。

田中さん一家の結論

11月の日曜日。田中さん一家は、近所の証券会社のセミナーに参加しました。担当者の説明を聞き、質問を重ね、ようやく納得。「月3万円、年率4%想定、13年間」という自分たちの計画に自信が持てたそうです。

帰り道、さくらちゃんが「大学ってたのしい?」と聞きました。田中さんは笑って答えました。「うん、きっと楽しいよ。パパとママがちゃんと準備しとくからね」。

こどもNISAは魔法の制度ではありません。でも、正しく理解して使えば、子どもの未来のための強い味方になります。まずはこのページのシミュレーターで、あなたのご家庭の数字を入れてみてください。なお、この記事は独立したガイドであり、政府のウェブサイトではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任でお願いします。